おかしなタイトルだと思われたかもしれませんね。でもこれはほぼほぼ真実です。人は年齢を重ねるごとに、経験を重ねるごとに、自分は世の中のたいていのことは知っている、と思いがちです。でも実際は、人によって体験の仕方や、その時にどんな感情を抱いたか、がちがうので、同じ出来事を頭に中に描いたとしてもその印象はまるでちがっていることがよくあります。たとえば「山を思い浮かべてください」と言われたときに、あなたはどんなイメージを抱きましたか?もしかしたら青く晴れ渡った空を背景にした富士山を思い浮かべたかもしれませんね。いえいえ、猛烈な吹雪の中にそびえ立つエベレストが浮かびました、とおっしゃるかもしれません。このように、同じ”山”という言葉から浮かべる情景は実は人によってさまざまです。人が生まれてからどんな経験をどのようにしてきたかによって、山だけでなく、生活全般にわたって、あらゆることをその人独特の世界観でとらえているということです。一見あたりまえのようですが、私たちはそのことをつい忘れがちで、自分の感じ方が標準的であるかのように思い込んでいる場合がよくあります。自分の考え方が普通だと思っている人同士、意見がぶつかり合ってどうにも収拾がつかないという話はよく耳にするところですね。自分では気づかないそんな思い込みについても、また詳しくお話しできたらと思います。
コメント